あるAnonymous Coward 曰く、
論文が撤回されたSTAP細胞問題に関連して同様に不正疑惑が持ち上がっていた小保方氏の博士論文について、早稲田大学の調査委員会(委員長=小林英明弁護士、他早大教授2名、他大教授2名、大学教授名は記載無)は「内容の信憑性が低く、学位が授与されることは到底考えられない」としながらも、認められた不正は博士号を与えた判断に重大な影響を与えていないとして、「博士号取り消しに該当しない」とする調査結果を発表した(調査概要:PDF,NHK,毎日新聞,マイナビ)。
調査委員長の小林英明弁護士はベネッセの個人情報漏えい問題の「個人情報漏えい事故調査委員会」の委員長に就任している。
調査結果は以下の通り。
- 著作権侵害行為11箇所(序章、リファレンス(過失認定)、Fig10(過失認定)等)
- 意味不明な記載2箇所
- 論旨が不明瞭な記載5箇所
- Tissue誌論文1の記載内容と整合性がない5箇所
- 論文の形式上の不備3箇所
これだけの不備不正が認められたにも関わらず博士号取り消しに該当しないと言う判断に至った理由は小保方氏の「本件博士論文は、公聴会時前の段階の博士論文草稿である」、「最終的な完成版の博士論文を製本すべきところ、誤って公聴会時前の段階の博士論文草稿を製本し、大学へ提出した」と言う主張を認めた為。
『完成版』については5/27に小保方氏から郵送で送付されてきたが、調査委は『問題表面化後に作られたものかどうかを検証するため』に電子版の提出を要求し6/26に小保方氏の代理人(弁護士)を通じてデータが提出された。このデータの更新時刻は提出の1時間前であり小林委員長は「それ以上の検証はできなかった」としている。更新日時によって書き直しの疑惑は深まっており「小保方氏の主張にいう博士論文が、当時、小保方氏が最終的な博士論文として真に提出しようとしていた博士論文と全く同一であるとの認定をするには、証拠が足りないと判断した」としているにも関わらず「公聴会の資料に『完成版』の内容が含まれている」等の理由から上記の結論に至っている。
なお、『完成版』は公開されていないがFig10等の不正箇所は修正されているが序章の20頁に及ぶ盗用についてはそのままであるとの事。20頁に及ぶ著作権侵害があるにも関わらず「序章は研究の本質ではなく、博士取得との因果関係がない」為、「学位規則第23条の規定(学位取り消し規定)」の要件を満たさないと言う結論に至ったとしている。早稲田大学では刑事事件になり得る不法行為を行って作成された論文であっても研究としての価値と論文内容が博士に足る内容であれば問題ではないと規定していると言う信じがたい結論である。
なお、調査委員会の結論はあくまで調査委員会としての結論でしかなく、早稲田大学を代表しての結論ではないことに注意したい。
小保方氏の代理人を務める三木秀夫弁護士は調査結果について、「本人にとっても安心材料の一つになるだろう。大学は調査委の報告書を尊重して対応してほしい」としている。
早稲田だ学の早稲田大学の鎌田薫総長は17日に会見を開き「調査委員会の認定の妥当性」については明言を避けたが、「研究指導体制などの改善策の再検討」、「小保方氏以外の博士論文についても調査中であること」、「1週間以内の(概要ではない)調査内容の公表」、「博士取り消しの可能性もある」と述べた(マイナビ)。
早稲田大学ではネットで小保方氏以外の博士論文についての不正疑惑も挙がっている。早稲田大学では現在280本の博士論文を調査しており(朝日)、「小保方氏の学位を散り消すとしたならば、他にも100件も取り消す必要が生じたかも。憶測ですが、それを避けたかったのでは」との声もある(東大理学部教授ロバート・ゲラー氏)。
本問題に関連して海外企業(研究室)に転職が決まっているタレコミ子の友人(早大ではない)が、先方から「大学に提出している博士論文の確認」、「研究室のWebサイト等で正式でない博士論文が公開されていないか」等の確認をしておいてはどうかと「助言」されたと言う。海外でも本話題への関心の高さをうかがえる。もし、調査委員会の結論を早大がそのまま受容してしまった場合、早大だけでなく日本の博士全体の信頼が損なわれるのではないかと危惧している。
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